自分のこだわりを詰め込んだオーダースーツは、多くのビジネスマンにとって憧れのアイテムでしょう。しかし、スーツは生地の産地や織り方、素材によって仕上がりや見た目が大きく異なります。理想のスーツが完成するように、事前に生地やブランドの特徴を把握しておく必要があるのです。
この記事では、オーダースーツに使用される生地やブランドの特徴などについて解説します。また、オーダースーツを選ぶポイントや人気の柄についても解説するので、ぜひチェックしてください。
産地ごとの生地の特徴
生地の質は、原材料によって左右されます。そのため、購入前には高品質なスーツの原材料を生み出すことで有名な国を把握することで、ハイクオリティな生地のスーツを仕立てることが可能です。
今回は毛織物産地として有名なイタリア・イギリス・日本について紹介します。
イタリア
イタリアは、アルプスの水や気温の恩恵で繊細でしなやかな糸の生産が豊富です。横糸に糸を一本使った「単糸」の生地が多く、やわらかく滑らかな触り心地が特徴的。光沢やツヤも美しいので、高級感や品質を重視する人にもおすすめの生地と言えるでしょう。
ただし、他の産地よりも生地の強度は高くないため、繊細に扱う必要があります。
イギリス
イギリスの生地はハリやコシがあり、しっかりとした肉厚なスーツを作りたい人におすすめです。ヨークシャーの生地は「双糸」という2本の糸をよったもので織りあげられており、強度が高いという特徴があります。
イギリスは寒くて湿気が多い地域で、その環境に耐えられるような丈夫な生地が主流なため、イギリスの文化がスーツにも反映されていると言えるでしょう。
日本
愛知県の尾州地域を代表とする自然豊かなエリアは、一大毛織物産地として世界でも有名です。イギリスをルーツとしているため、生地のデザイン性や厚みなどは似ている傾向にあります。
日本の織物は職人たちが各工程を専門で行っているので、さらに上質な生地となり、機能性もデザイン性も重視したい、という方にはぴったりと言えるでしょう。
代表的な織り方
生地は織り方によって見た目や触り心地も変わります。こだわりのスーツを作る場合にはしっかりチェックしましょう。
ここでは代表的な織り方である「平織」「綾織」「繻子(朱子)織り」の特徴について解説します。季節ごとに使い分けたい場合も、ぜひ確認してください。
平織
平織(ひらおり)とは、縦と横の糸を交互に織る方法です。生地に厚みがありますが、隙間もあるため通気性がよく、夏用として利用されることが多いです。
丈夫・頑丈という特徴の他に、ツヤが出にくいという特徴もあります。
綾織
綾織(あやおり)は別名斜文織(しゃもんおり)やツイルという代表的な織り方のひとつです。縦と横の糸が1対1ではなく2対1や3対1となっており、糸の交差部分が斜めに浮いて見えます。丈夫でツヤが出る生地を使いたい場合、綾織のものを選ぶと良いでしょう。
この生地は、ツヤや密度が高く、保湿性に優れている点から冬用として使用されることが多いです。また、シワが出にくい・伸縮性があるという点から、スーツだけでなくジーパン生地として使われることもあります。
繻子(朱子)織り
繻子(朱子)織りとは、縦もしくは横の糸が5本以上で、交差する際に上下左右で隣り合わないように作られている織り方です。なめらかで光沢が出る織り方であることから、サテン生地などに使用されることが一般的とされています。
ただし、シワや型崩れしやすいという点には注意が必要です。普段からよく着用する服より、フォーマルなドレスを作る場合におすすめの織り方と言えるでしょう。
スーツに使われている生地の種類と特徴
生地に使われる素材によっても、見た目や触り心地、ぴったりの季節などが異なります。お手入れのしやすさも変わるため、普段使いをしたいのか、パーティーなど特別なイベント用に仕立てたいのかも合わせてチェックしましょう。
シルク
シルクは蚕の繭をより合わせた糸を織って作る生地で、なめらかで光沢のある見た目が特徴です。高級感のあるスーツを作りたい人や手触りを重視する人などにおすすめできます。
また、生地がなめらかでやわらかいため、身体にフィットし、着心地がいいという点もメリットのひとつでしょう。
カシミヤ
カシミヤとは、カシミヤヤギから採れる毛を織って生地にしたものです。極寒の地で生き抜くヤギの毛を使用しているため、寒さが厳しい冬用のスーツに使われることが多くあります。
また、軽くフワフワとした肌ざわりなので、セーターやニットのチクチク感が気になる人でも手軽に着られるでしょう。保温性だけでなく、高級感がある点や型崩れしにくい点などにおいてもメリットがあります。
ポリエステル
ポリエステルとは、石油を原料とした合成繊維の生地です。ウールや他の素材と比べるとコストがかからず強度もあるので、毎日スーツを着る人におすすめといえるでしょう。
また、ポリエステルはシワになりにくく、強度が強く洗濯しても型崩れしにくいというメリットがあります。定期的にスーツを洗いたい人は、ぜひポリエステルのものをチェックしてみてください。
ただし、一般的にポリエステルは通気性が悪い傾向にあるため、事前に改良されているものかどうか確認することをおすすめします。
ビスコース
ビスコースはレーヨン素材のひとつで、自然素材の合成繊維の生地です。繊維が細かく、なめらかな着心地が特徴的。
シルエットを重視するワンピースやブラウスにも使用される生地のため、リッチで身体にフィットするスーツが欲しい人には特におすすめされています。色落ちや日焼けをしにくく、強度も強いという点も嬉しいポイントです。
生地を選ぶ際のポイント
「どの生地を選べばいいかわからない」という場合、以下のような4つのポイントに注目してオーダースーツを選びましょう。見た目や着心地、目的などに応じてぴったりの生地を選ぶことが大切です。
- 光沢
スーツに高級感を出したい場合、光沢のある生地をおすすめします。自分の肌と自然になじむように、試着して相性を確かめることが大切です。
- 柔らかさ
やわらかい生地は着心地がよく、シワになりにくいという特徴があります。生地をつまんで離したときに、シワにならずに元に戻るかどうかでチェックできます。
- シワのノビ・ストレッチ性
動きやすさを重視する場合、シワのノビ・ストレッチ性をチェックしましょう。外回りが多い営業マンなどは、ストレッチ性が低いスーツでは動きにくいだけでなく、生地が傷みやすいというデメリットにも繋がります。
- 着る季節
オーダースーツは春夏用と秋冬用の2パターン作ることをおすすめします。暑さが気になる季節では、リネンやモヘアなどの断熱性に優れた生地がいいでしょう。寒い季節には、厚手で保温性が高いサキソニーやシャークスキンなどがおすすめです。
ベーシックな柄の種類
最後に、ベーシックな柄の種類について3つ紹介します。「派手すぎるスーツになったらどうしよう」と心配な場合、以下のような柄を取り入れると、ベーシックでどんなシーンにも馴染みやすいでしょう。
- 無地
ビジネスや冠婚葬祭など場所を制限せずに着たい場合、無地がおすすめです。無地は風合いや光沢などが前面に出るので、日頃のお手入れもしっかり行いましょう。
- ストライプ
ストライプはビジネスの定番で、線が薄いものほど格式高い場面でも着用しやすくなります。スーツの生地の色が濃く、線の色が薄いものが日本では主流です。
- チェック
チェックは模様によっては華やかになりすぎるため、シーンによって使い分けることが大切です。特にチェックのサイズが大きくなるほど華美とみなされ、ビジネスやマナーが気になるシーンでは避けた方がいいとされています。
まとめ
この記事では、オーダースーツに使用される生地やブランドの特徴などについて解説しました。生地の産地や素材によって光沢やなめらかさが異なるので、目的やシーンにぴったりのスーツを心がけましょう。自分でどのようなオーダースーツを作ればいいかわからない場合は、企業に相談することもおすすめです。